鏡を使って自分の「考える力」を観察、探求する

2016/4/4 月曜日

こんにちは! 上原知子です。

前回の実験で、「鏡を使って自分を見る」という実験をお送りしました。
引続き実験を進めてみたいと思います。

随分長文になってしまいました。
早速実験に取り掛かりたい方は
「思考の影響力を観察する」の(1)~(4)をお試し下しさい。

——————————–
まずは、前回の実験のおさらい
——————————–

『変化の前の重要なステップ』として、
観察すること、自分を受け入れること、自分に気づくことをテーマに、この実験を提案しました。

→ 鏡を使う目的を明確に。「自分のしていること、在り方」を知るために鏡を使う。
→ 自分の「していること」「雰囲気」「あり方」などを受け入れるつもりで気楽に観察する。

——————————–
今回は、『思考の影響力』を観察します。
——————————–

アレクサンダーテクニークでは、新しい自分の使い方をするとき、
身体の調和的な使い方の方向性を『考える』ように言われます。
または、方向性を自分に「お願いする」とか「許す」などという言い方もします。

このニュアンスが、ちょっと難しいんです。
考えるだけで、考えたことを「しよう」とはしない……ということが。

(実際には、「考える」とは「考えるだけ」ではななく、
「しようとしない」とは「何もしない」というわけでもありません。
禅問答みたいですね。 言葉では伝えにくい体験です。)

アレクサンダーテクニークのレッスンを受けると、先生に「首を楽に」と言われます。
「首を楽にしよう」とすると「しないで。首を楽にと考えるだけでいいですよ。」と言われます。
そうすると「首を楽に」という指示と「しないで」という指示の間で混乱することもあります。

・~・・・~・・・・~・・・~・・・

実際、私は混乱しました。

自分が先生の指示のとおり「考えている」だけなのか「やっている」のかわかりません。
わからないので、出来ません。
なんとかして先生のいう「考えるだけ」をやろうするあまり、
「こうかな? うまくできているかな?」と首に意識が集中してすぎて余計緊張したりしました。

でもそれは珍しいことではなく、アレクサンダーテクニークではよくあることです。

・~・・・~・・・・~・・・~・・・

アレクサンダーテクニークに慣れている人は、意識的に頭を「動かして」バランスよく首を楽にすることが出来るかもしれません。
でも最初は、それをせずに、もう少しデリケートに取り組めると良いように思います。

というのも、様々な行為の不調和や失敗の原因は、
「結果を望むあまり感覚的にやってしまう」ことにあるからです。
これは大事なことで、感覚的にやっているから、迷ったり、部分的な対応になって全体として歪がでたり、うまくいかないんです。

これをアレクサンダーテクニークでは「エンド・ゲイニング」とよんでいて、
緊張が入りすぎたり、視野が狭くなりすぎて、うまくいかないやり方だと考えています。

では、どうやってエンドゲイニングせずに、体験をできるかな?
アレクサンダー・テクニークの「考えて」「しないで」をどうやって両立できるかな?
そんな疑問をもとに、今回の実験をお届けします。

——————————–
思考の影響力を観察する
——————————–

(1)まずは、前回同様、鏡の前でありのままの自分を観察します。

落ち着いて、ゆっくり時間をかけてください。
なにか気になるところはありますか?

アレクサンダー・テクニークの側面から観察するとしたら、

「首は楽そうかな?」
「頭は脊椎のうえでバランスをとっているかな?」
「身体は開放されて長く広く、自分の大きさを許し続けているかな?」
「肩から指先に向かって、長く開放されているかな?」
「股関節、膝、足首を固定せず、膝は前を向いているかな?」

などという質問を自分にすることも出来ます。

でも、アレクサンダーテクニークの観点にとらわれる必要もありません。
自分のあり方に感心を持ってみましょう。
自分全体の雰囲気(元気がない、しょぼんとしている、いきいきしているなど)を掴んでみてもよいと思います。

(2)自分の可能性を見つけてみましょう。
「もっと、こうだったらいいと思うよ」「もっと、こうしてみたらどうだろう?」というところです。

(3)鏡の中の自分に、新しい提案をしてください。

心のなかで、鏡の中の自分に伝えます。

「顎はもっと楽になれるよ」
「目はもっと力を抜抜いても大丈夫」
「その呼吸の動き、すごくいいね。もっと身体全体に動きが伝わるんじゃない? 呼吸の動きが骨盤まで伝わっていることを思い出してみよう」

など、鏡の中の自分に新しい提案を自由に伝えます。
アレクサンダー・テクニークを学んでいる方は、ディレクションを伝えることも試してください。

(4)その提案に、賛同してください。

鏡を見ながら、自分の提案に穏やかに賛同し、アドバイスを聞き入れてみてください。
慌てずに、そして自分の変化をよく見ながら。

提案のとおりに反応してくれましたか?
さっきよりいい感じですか?
全く反応はないでしょうか。
何をどうしていいのか、わからないですか?

——————————–
この実験で、練習していること
——————————–

◯気楽に試してください

実験ですので、気楽に、鏡の中の自分とコミュニケーションをとってください。

鏡の中で変化がない自分、困惑している自分が見えてもかまいません。
自分のよりよい使い方を、冷静に客観的に「自分に提案する」ための練習です。

◯練習していること

提案内容を考える練習にもなりますが、
それ以上に意味のあることは、【提案を、自分の選択として思考する】ということです。

これが、アレクサンダー・テクニークの「考えるだけで良い」というクオリティと結びつくのではないかと思っています。

そして、「自分の選択に、自分が自然とノッてついてきてくれる」
そんな流れが作れれば、提案と実際の動きにがリンクしてくるようになるのではないかと思います。

◯ポジティブシンキングとは違います。

これは、鏡に向かって自分を励ますような、ポジティブシンキングとは別物です。

「自分のしていること、あり方に気づく」という観察ベースがあり、
それに基づいて、新しい方向性として「どうしたらいいのか」「どちらに向かって開放されるのか」などを提案していく練習です。

むやみに自分を元気づける、奮い立たせるというものとは違うので、落ち着いて「観察」をしてからやってみてください。

◯脳の司令で、筋肉が動きます。だから、思考の練習をしています。

「思考の力」を実験し観察しているわけですが、筋肉は脳からの司令で働くからです。

習慣化されている動きや癖は、その司令が無意識に発動してしまうのですよね。

このレッスンを通じて、「無意識」から「意識的」に自分のあり方を選択し、それがどのように伝わっているか観察してください。
不要な緊張や動きを付け加えていたら「それはいらないよ」と鏡の自分に教え続けます。

そうやって、鏡を媒体にすることにより「デリケートな思考」によって、自分を使うことができることがあります。
単に自分の中で「こうしよう」と思うより、鏡を媒体にすることで、客観的に、落ち着いて、優しくメッセージをあげられるような気がします。
それによってアレクサンダー・テクニークの「考えるの力」のさじ加減が実感できたら嬉しいです。

「デリケートな思考」とは何のことかというと、
「スムーズに不要な緊張が減り、必要な緊張が現れる……そんな影響力を持つ思考」のことを言っています。
緊張の波が、す~っと変化していくような、そんな体験ができるかもしれません。
すごく素敵ですね。 でも、それがアレクサンダー・テクニークの思考によって起こることです!

心身は連動しているので、思考がデリケートであれば、動きもそのようになるでしょう。
けれどそんな変化が起きた時、体感として「実感」できる保証がないのがアレクサンダーテクニーク。それぐらいデリケートです。

なので、実感を求めず、鏡の中の自分をよく観察して、語りかけ、また観察しつづけることを試してみてください。
この実験がお役に立ったら嬉しいです。