わからなくても大丈夫

習慣を減らす意識的な学び

アレクサンダーテクニークの学びは、今まで体験してきた「何かを学ぶ方法」と違うかもしれません。
このワークは既に身につけてしまった自分に不調和をもたらすを「減らす」ためのワークであり、
がんばって詰め込む・理解するという努力型のレッスンではありません。

また、ひたすらからだを動かして鍛える・整えるトレーニングとも違います。
「習慣から離れる」という学びは、とても意識を使うレッスンです。
 

わからなくても大丈夫

既に身についた「上手く行かない自分の使い方」という習慣を減らすために「すること」はありますが、
それはとても繊細で時に「何もしていない」ように感じることもありますし、
いつもとは違うので「間違ったことをしている」ように感じることもあります。

「分かっているかどうか実感したい」「出来ているかどうか気になる」という気持ちになると思いますが、それはアレクサンダーテクニークの学びを邪魔することがあります。
それは、その”思い”を持ったとき、身体や思考が必要以上に緊張してしまうことがあるからです。
不要な緊張を減らしたくてレッスンをしているのに、
「分かりたい」という思いが緊張を作ってしまうことがあるんですね。

教師は、一緒にレッスンしているとき「分からない」と生徒さんに告げられた場合、
理解してもらえるように説明することもあれば、
「わからなくても大丈夫よ。うまくいってる、そのままやっていきましょう」で、終わらすこともあります。
起きていることや、その人を見ながら判断してレッスンを進めているからです。

私自身、学び始めのころ先生にこう聞いたことがあります。
「今、私に何が起きたんですか?私は何をしていたんですか?どうやってこの状態になったのか全然わかりません」
すると先生は
「・・・まず、きみは『わかりたい』という欲望を減らさないとね」とおっしゃいました。
私はそう言われて愕然としました。
今まで勉強やトレーニングという種類のもので、そんなこと言われたことがなかったからです。
分からないまま放置させられて疑問も解決せずモヤモヤとしましたが、
「わかりたいという欲望を手放す」という新しい課題をもらったように感じました。
そして、むやみに「わかろう!今すぐ理解したい!」という状況から、
だんだんと「わからない」ということも含めた体験というものを広く尊重できるようにもなったように感じます。

「わからなくても大丈夫」といわれて不安やモヤモヤが起こることもあるかもしれませんが
「わからないけれど、ちゃんとうまく行っているんだな」と安心してください。
安心できないかもしれませんが「分からなくても大丈夫」ということに慣れていく練習だと思ってください。

起きていることを充分に理解することが学びになることもあれば、
起きていること理解できなくても、今のままやっていくことが学びになることもあります。
 

頭の理解 身体の理解

アレクサンダーテクニークの学び・変化のプロセスは、本人の実感をともなっていないこともあります。
もちろん実感がともなうと満足感も増しますし、「頭」の理解も増すのですが・・・
「身体」の理解は必ずしも「頭」の理解をともなっていないこともあるのです。

「全然わかりません。何か変わったのでしょうか?」と言っている人の身体が、
とても繊細に敏感に反応しているということはよくあります。
「身体がすごくラクだけど、なんででしょう?なにもしていないのだけど?」といいつつ、
ちゃんと自分で自分に変化を作り出している人もいます。

アレクサンダーテクニークの「習慣から離れる」というプロセスはとても意識的な行為なのですが、
実感として脳みそで翻訳されないことがあるみたいです。
新しい体験なので、ちょっと分析不可能・情報の取りこぼしみたいな感じになるのでしょうか?

自分にメッセージをおくるということ
自分の身体が自分のメッセージに反応するということ
それがどういうことなのか、レッスンが進んでいくとだんだんわかるのかもしれません。

そして同時に「わからなくても大丈夫」という安心感も増えてくるように思います。
 

感覚と現実のギャップ

変化を感じなくても大丈夫というだけでなく、「変な感じ」がしても大丈夫ということも大事です。
もちろん、すべての場合が大丈夫というわけではないので、レッスン中に感じた違和感は教師に伝えてください。

習慣と新しいやり方とのギャップが引き起こす「へんな感じ」は、
アレクサンダーテクニークではよくあることです。
今までの普通だと感じていた「不要な習慣がプラスされていたやり方」が
「より機能的で自由なやり方」に変わったとき、
ギャップとして「変な感じ」「上手く行っていない感じ」と翻訳されてしまうことがあるのです。

自分ではなんだか前のめりに立っている感じがするけれど、先生やグループレッスンの仲間から
「さっきよりずっとバランスよくに立っているいるように見える」と言われたり、
アレクサンダーテクニークを使って歌ってみると
「全然感情がこもっているように歌えない」と思っているのに
「さっきよりずっと歌詞の意味が伝わってきた」など、
自分で感じていることとは全然違う感想を聞くこともあります。

客観的なフィードバックも参考にしつつ
「変化を感じないこともあるんだな、それでもいいんだな・・・」とか
「私が感じたことと、実際に起きていることは違うのかも・・」など、
自分の感じ方の枠を超えて、新しい体験や学びを深めていけるとよいと思います。

もちろん、変な感じ、不快な感覚には、
本当に身体に負担がかかっている場合もあるかもしれません。

特に、怪我をしている方や、身体の故障を抱えている方などは
「変な感じだけど、これでもいいのよね」と黙っていることはせず、
その都度先生に自分の感じていることを話してください。

それは、上手くいっていても、上手くいってなくても「感じていること」は先生に伝えて欲しいのです。

感覚は、レッスンを受ける側の生徒さんだけが持っている貴重な情報で、
その情報をシェアしていただくことで、
先生は生徒さんの状況を踏まえながらレッスンを進めていくことができます。
もしくは、レッスンを中断することが必要な場合もあります。
ですので、自分の思っていることは、遠慮なく伝えていきましょう。
 




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