呪文状態のディレクション
- けいこ
- どう自分を使うかを「考える」ことは重要だとして、
それが、「呪文」になっちゃう人と、
実際に考えを「自分の使い方」に反映できる人がいるじゃない?
ただ「頭が動いて、体がついてきて」って”言っているだけ”の人もいて。
そこが難しいなって思う。
*呪文:
アレクサンダーテクニークを実践する時に、自分で「自分の使い方」について言葉でガイド(ディレクション)を示します。
(例:「首が自由になり、頭が前へ上へ、背中は長く広く」など)その”ガイド”を、ブツブツと「ただ繰り返し思っているだけの状態」で、
ガイドが影響力を持っていないような状態を、”呪文”と例えて呼んでいます。
実際の呪文(?)とは関係がありません。 - ともこ
- ……難しいね。
呪文になっている場合は、さっき、けいこさんが言っていた
「本番は、反応しているだけ」っていってた、あの状況はないように思うな。
外とのつながりとの反応は薄らいじゃって。
自分の内側の部分的作業で…ゆだねていない感じ。 - あき
- ということは、エンドゲイニングでやっている可能性。
*エンドゲイニング:
行為をするときに、目的に向かって直接的にアプローチし、習慣的で広い視野や選択肢を失っている状態。
プロセスの健全や全体の調和が失われ強引になったりもする。 - ともこ
- そうなんだろうね。
- あき
- 自分の頭がラクで…ていう状態に(コントロールして)持っていこうとしていて
- ともこ
- そうそうそうそう
- あき
- それで呪文になっているパターンもあれば……
なんだろうね……
…呪文…呪文やっているけど……よく……
呪文やっている時って、私の場合はエンドゲイニングをやっていると思う。
それから、よくわからないから唱えるしかない時もあった。 - ともこ
- でもさ、よくわからないから唱えるしかないときって、うまくいかない?
- あき
- うそ!? だめだよ。あれ?
- ともこ
- えー、そうなの? 私はね、けっこう「唱えるだけでよろしいのである」で、うまくいく。
- あき
- そっかー。いやたぶん、唱えるだけじゃなくて、無意識でなんかやってる。
- ともこ
- やってるのかな?
- あき
- ゆだねることが無意識に出来ているんじゃないかな。
- ともこ
- そうなのかなあ。
意識の広がりも影響してそう。
自分の方向性を考えているときの認識力が。
たとえば「頭が動いて」って言っているときに、頭だけしか認識してないからうまくいかないとか - あき
- 注意をどこに向けているかだ。
- ともこ
- そうそうそう。注意をどこに向けているか。
- あき
- 唱えながら、あしたの晩御飯のこと考えていたら、その間は注意いっていないから……
- ともこ
- でも両立できるよ
- あき
- え? 唱えながらだよ。
- ともこ
- うんうんうん。
だって、おしゃべりしながらアレクサンダーテクニークってできるじゃない。 - あき
- そのときは、いくべきところに注意がいっているんじゃない?
呪文になっているときは、いくべきところに……
いくべきところっていうのがあるかわからないけれど、
うまくいく「言葉」に注意がいっているんじゃなくて、
唱えているんだけど、
うまくいくところ”じゃないところ”に呪文の注意がいっている。 - ともこ
- うん。うん。
……でもさ、呪文時期も必要な気がするんだけど、どうなのかな。
自転車みたいに慣れないうちはうまくいかないけれど、
でも、乗れるようになれば……
神経のつながりが太くなれば、呪文だって……
ん〜? でも、出来るはずの人も呪文してることあるよね……? - あき
- 呪文になっていることに気づいていないかもしれない。
うまくいかないと思って先生にみてもらうと、うまくいくじゃない?
で、また家に帰ってやるとうまくいかないんだけど、
自分が呪文していると思っていないから、抜けられない。 - ともこ
- なにか、呪文をやめるプロセスみたいなのあった?
- けいこ
- いまそれ考えていたんだけど……
呪文をやめられているのかもわかんないけど・ - ともこ
- 自分が教える側としてレッスンするときには呪文やめられていると思わない?
自分がレッスンをするときは、呪文しないよね? - あき
- うん。
- けいこ
- あ、わかる!
呪文していないはしてないんだけど……
考えているかどうかわからない時がある。
自分を忘れてやっていることもある。 - あき
- 考えているか、考えていないかであって、考えているときは呪文していない。
- けいこ
- ……えー! わかんないや!
- ともこ
- たぶんできないと思うよ。レッスン中は呪文できない。
- あき
- なんでだろうね、あれ? 切迫感?
- ともこ
- 見なきゃけないものがあるから?
注意を向けていなきゃいけないものがあるから、呪文なんてしてたら……ねぇ……。
呪文になっちゃうときって、注意力が自分ばかりで、自分のチェックばかりになっていたりとか。
そんな状態になれちゃう。 - あき
- *コーディネーションがその時のアクティビティで一番大事なことだと思っていないから呪文になれるのかな。
いや、今、レッスンで、呪文になれないのはなんでだろうと思ったら、
その時間のなかで自分は、コーディネーションが一番大事だと思っているわけじゃない。
普段呪文になるのは、“やりたいこと”の方が大事だから、シンキングをそんなに大事にしていないから……
あれ? わかんない……。(混乱)*コーディネーション:
頭と胴体における関係性。調和具合 - ともこ
- どうなんだろう。注意しすぎちゃうんじゃない?
うまくいっているか、うまくいっていないかの世界にはいっちゃうというか。 - けいこ
- そうか。
アレクサンダーが出来ているか出来ていないかに……それをゴールにしている。 - ともこ
- うんうん。やっぱり気になっちゃうもんね。
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