アレクサンダーテクニークを学び始めたきっかけ:福本亜紀
- ともこ
- あきさんは、どうやってアレクサンダーを知り、興味がわいたの?
- あき
- 演技の勉強はちゃんとしたことがなくって、自己流で小劇場でやっていたのね。
でも、さっぱりわかんなくって。舞台で棒立ちっていうの?
舞台上で…あの当時の感覚でいうと、「なんにも感じられません」。
まったく感情が動かなくって、もうどうしようもなくって、
「ただ、セリフを言っているだけです」みたいなことをずっとやっていて、
体がすんごいガチガチになっていたのね。あの…筋膜リリースってあるじゃない?
舞台で柔らかくしなやかに動ける体がほしいと思って、
探したら10回セッションみたいなものを行っていたの。 - ともこ
- ロルフィング? (あき、首を振る) ……じゃないんだ。
- あき
- その人が独自でやっている筋膜リリース。
そこに通って何回目かのセッションの時に、
「演劇をやっているんだったらアレクサンダーテクニークって知っていますか?」って。 - ともこ
- けいこさんもあきさんも、ご縁があったんだね。
タイミングの良い時に、教えてくれる人がいるんだね! - あき
- あはは。
……て、言われて、「いや知りませーん」と。
それで流してそのセッションも終わって、
しばらくあとに、アレクサンダーテクニークってなんだろうって思って調べて、
ATA(アレクサンダーテクニークの教室)のお試しグループレッスンに行ったの。そこで、ともこさんに……
- ともこ
- 私だった……!?
(一同笑) - けいこ
- そうなんだ!
あきさんも、ともこさんなんだ。
しかしともこさんは覚えておらず……。(笑) - あき
- でもさ、お試しレッスンって1時間半ぐらいで、
そのときは結構な人数いたから、一人あたりの体験ってそんなにないじゃない? - ともこ
- そうだね、うんうん。
- あき
- そのときも、みんなにちょっとずつ体験してもらおうっていうプランだったと思うから、
アレクサンダーがよくわからないまま、
ただ触れられて体がラクになったっていう体験で終わったのね。で、「なんか、ちがうんだけどこれ!」って思うんだけど、
「でも、これって一人でできないってことでしょ」と思っちゃって - けいこ
- あーー。
- ともこ
- うんうん
- あき
- あの…先生の手がないと(触れて指導してもらわないと)、できないと。
でもなんであの人は「演劇をやっているなら、アレクサンダーテクニークを知っていますか??」って言ったんだろうと……。 - けいこ
- なるほどなるほど
- あき
- さっぱりわからないまま、その時はそれで終わったのね。
演劇をやっているからお金がなくって、よくわからないままそっちに費やす余裕はその時なくて。
もっとやりたいことがあるから。
で、何年後かほったらかしにしといて……お芝居をやめようって思った。 - ともこ
- そうなんだー。
- あき
- ま、それは、はっきり言って挫折。
上手くいかないから挫折しちゃったんだけど、
でもやっぱり、どこかにあこがれがあって……。「なぜ舞台上で自由に演技が出来る人は、出来るんだ? それは知りたい」って、
そんなことを思っていたらふと、「あのアレクサンダーテクニークって何だったんだろう?」って思って。
とにかく「あの“アレクサンダーテクニーク”が何なのかをまず知りたい」って思った。で、またATAのウェブサイトを見たら、
丁度、実習生による10回レッスンの生徒を募集していて
「この金額なら受けられるし、10回うければ何かはわかるだろ」と思って、それに申し込んだのね。
で、それで担当になった先生が演劇の岡菜穂さんだったの - ともこ
- わー、いいね!
- あき
- うん、菜穂さんについて10回やったんだけど、
毎回、自分が今までできなかった演劇のエクササイズなどを1個づつ持ち込んだの。
「あの、これが出来ないんですけど、なにかできます?」って感じで。「出来ない!なんで出来ないんだ!」って何年も思っていたことが、
菜穂さんがハンズオンして一言二言いうと、スコーンって出来るようになって、「は⁉」みたいな。*ハンズオン(hands-on):アレクサンダーテクニークレッスン方法の一つで、教師が生徒に触れながら新しい自分の使い方をサポートする。
眼から鱗体験を10回の中で毎回。
ほんのちょっと視点を変えるだけで、
できないって思っていたことが出来るんだ!って。それを知ってしまったからには、これはもうやるしかないと思って、そんな流れで。
- ともこ
- そうなのかー。
- けいこ
- へー!
- ともこ
- でも……そこで、よく思い出したね、アレクサンダーテクニークを。
- あき
- お試しレッスンで受けた感覚が、体に残っていたんだよね、なんかね。
……何だったんだろう。 - ともこ
- そっかあ。
レッスンしていると、1回キリの生徒さんは、
「興味がわかなかったかな?」とか、
「私のレッスンがまずかったんじゃないか」って反省することがあるけれど、
あきさんと、けいこさんの話を聞くと、ちょっと勇気がでる。 - あき
- ぜったい残っているから。
足をまた運ぶきっかけにはなる。 - けいこ
- そうだよね。受ける人の準備もあるもんね。
Previous < < | 対談TOP | >> NEXT |
- アレクサンダーテクニークを学び始めたきっかけ:平山敬子
- アレクサンダーテクニークを学び始めたきっかけ:福本亜紀
- 「出来ない」 という 、思い間違い
- アレクサンダーテクニークを学び始めたきっかけ:上原知子
- 本番マジックが起こるとき
- 「生きていることが仕事」演劇とアレクサンダーテクニーク
- 感情を決めて演じることと、エンドゲイニング
- 伝えたいものが準備されていて、余分なものが外れたときに、用意されていたものはちゃんと伝わる
- 「これだけでいいの?」今までと違う演技
- 演技とアレクサンダーテクニークの切り分け
- 演出とアレクサンダーテクニーク
- アレクサンダーテクニークによって、演技がどう変わったか
- 人からの評価をどう受け止めるかが変わる
- あてにならない感覚的評価があてになるようになってきたとき、感覚を信頼してよいのか
- 呪文状態のディレクション